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設立趣意書
認知神経心理学研究会設立の趣意
「認知神経心理学研究会」は、認知的視点に立って、人間の高次機能と、その基盤としての脳との間に橋渡しすることをねらいとして、1998年以降、年1回、研究会を開催しています。
人間の高次機能と、その基盤としての脳との関係を研究する分野としては、脳損傷者を対象とする19世紀来の神経心理学がいわば老舗です。なかでも、ヒトにおいて高度に発達した言語機能は、動物実験によって調べることが困難であり、脳損傷により生じた後天性の言語障害や、先天性(発達性)の言語障害例の行動から、脳の損傷部位が元来担っていたであろう機能を推測する手法が、つい最近までほぼ唯一の研究手段でした。
近年になりPET、fMRI、近赤外光トポグラフィー、MEG(脳磁図)などの脳機能イメージング法や、MRIの新しい撮像法であるPWI・DWIやテンソル・イメージングなど、種々の非侵襲的脳イメージング法が普及し、健常者の脳活動について多くのことを知り得るようになりました。しかし、これら脳イメージング法を用いた研究により得られるのは、ある課題を実施中に活動した脳の部位や脳の形態に関する情報です。それが意味をもつには、脳の機能に関するモデルが必須であり、それを扱う認知神経心理学は今後の発展が期待される学際的領域です。しかし、わが国では、異分野間コミュニケーションが依然として少ないのが実情です。
そこで、認知神経心理学研究会は以下を基本理念として掲げ新たにスタートいたしました。
認知神経心理学を標榜する研究者・教育者・学生、および関連分野の皆さまの積極的な参加を期待しています。
平成17年8月6日
認知神経心理学研究会
初代会長 辰巳 格
1 幅広い分野の研究者が参加できる学際的な場を提供します
人間の高次脳機能を認知的な側面から探求する幅広い分野の研究者が、気軽に参加できる、組織、場を提供します。人間の認知に関わる研究であれば、その研究目的、研究手法、研究対象、学派、主義、主張に関わらず、自由に議論できることを第一義とします。
2 認知神経心理学分野での求心力をもった組織として機能することを目指します
完成された成果発表だけではなく、話題提供、問題提起の場として、研究の仲間作りの場として、認知神経心理学研究の日本および世界における求心力をもった組織として機能することを目指します。
3 新たな研究課題の発掘やテーマ拡大を目指します
関連分野の第一人者が集い、完成度の高い研究成果やデータを交換することにより、新たな研究手法の開発、新たな研究課題の発掘を目指します。
4 医療現場とのコラボレーションによって研究成果の応用と展開を目指します
医療現場で得られる臨床データや、疑問、課題を共有することにより、認知に関わる研究成果の応用と展開を目指します。
5 若手の育成、アイデアの芽を育てる場を提供します
志を同じくする第一人者から学生までが集い、若手の育成、アイデアの芽を育てる場を提供します。
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